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スタジオジブリ 宮崎駿 最新作「風立ちぬ」 感想


宮崎駿の最新作「風立ちぬ」を観てきました。
世代を問わず、日本で頑張って生きてきた人ならば泣くに決まってるわ;;

 宮崎駿監督が、零戦を完成させた飛行機設計技師、堀越二郎(1903~1982年)の半生を描いた壮大な青春ストーリー。技術者として美しい飛行機作りに情熱を傾けた青年の夢が、大空とともに舞い上がるロマンアニメだ。

【シネ魂】「風立ちぬ」 – 芸能社会 – SANSPO.COM(サンスポ)
http://bit.ly/15TR4PU

上記記事では、尊大なヒロイズムでも極端な糾弾でもない、エリートや平和が云々と紹介されています。間違っちゃいない。ただ、それだけじゃ端折りすぎ。誰もが認める宮崎駿さんが、初めて表現者として観客に向き合った作品を創ったというか。まるくなったというか。この手の自伝的作品って、真っ先に創りそうなもんじゃないですか。何故に今までこれを創らなかったのかと不思議に思ったほど。それぐらい、他人に対してのメッセージ性の強い描写が多数見受けられました。

 観たときに左右される作品。うちのブログなんぞを読んでくれる人向けに言うならば「CLANNAD」や「おおかみこどもの雨と雪」のような作品でした。夢や希望もなく、また夢が叶うことなくただ学校や会社に行くだけの人が観ればへこまされる。様々な事情で挫折して当事者意識を持つことができず、ただやらされているだけの人生の人が観れば自己投影と悔しさで泣きたくなる。恋人がおらず、今年の夏も独りの人がぼっちで観に行ったら、殴る壁が幾らあっても足りません。座席を蹴っちゃ行けませんよ!

二郎の人物像

 二郎はとても強い人。序盤での大震災。あの中では主人公補正も機能しない。ちっぽけな人間に出来ることなんてたかが知れています。それでも彼は立ち止まらず、転んでも立ち上がって歩き続けました。育ちや境遇、環境を言い訳にしない。ただ前に進むのみ。復興後、就職して名古屋へ向かう場面にて、列車で道端の人たちを追い越していく。あのときは全員が止まった列車で、今度は列車で追い越していく。歩みを止めないってすげえ。かっけえ。

一度目の凪

 二郎が設計した飛行機のテストフライトにて、無事に成功したような場面で終わり、唐突に避暑地の場面へ切り替わる。最初、何が起こったのかさっぱり分からなかった。作中では、二郎は弱音吐くことが一切ありません。大成功したからしばらく休んでいいよ休暇なのかと勘違いした。つまりは、大失敗して、計画が頓挫したということ。言葉以外で表現されたことで、より痛々しく伝わりました。空気を読んで察してね!っていうあれです。この映画は台詞に頼らない場面が目立つ。情景、手振りや表情、シチュエーション(場の空気)の描き方が丁寧。スタッフ同士で汲み取り合い(愛)が盛んに行われたことでしょう。めっちゃ楽しそう。映画といえば、挫折して避暑地でボーイミーツガール。ちゅっちゅして人生やり直す。「エリザベスタウン」が大好きです。定番ですね。だが、それがいい!

 日常系・萌え系が隆盛する一方で、ネガティブ・泣きゲーが衰退した昨今。あまり見掛けなくなった薄幸の美少女、菜穂子との再会。紙飛行機を受け取る場面が大好きです。風が再び吹き始めた感がやばい。夢叶わず。誰かのせいにしない。弱音を吐くこともない。どん底にいて、死んだ魚のような目をしていた二郎が蘇っていく。ここで泣いた。復帰後の友人や会社の仲間が優しい。生きて、頑張ってりゃ人生いいことあるんだ。

 菜穂子の行動が身勝手に映る、足を引っ張っていると映る。突然の結婚とかありえん。そう思う人は、それでいいと思います。当人同士の問題だと思うし、誰がかそうだって言い切っていいもんじゃない。彼女自身、それは痛いほど自覚はしていて、それでも、一緒にいたいと思ったのは、二郎の為でもあるのかなと個人的には思いました。ドイツ人の医者が語っていた通り、病気だったのは菜穂子だけじゃなく、二郎もある意味では病気だった。夢に向かってもう一度奮起する二郎。やる気が戻った彼の手紙を読み、残りの人生を賭してそんな彼を支えてあげたいと思ったのではないでしょうか。彼の夢が再び羽ばたく当日、精一杯のお見送りをする。二郎が出掛けた後、今にも倒れそう(泣き崩れそう)だった菜穂子の場面はマジやばい。黒川夫人への最期のご挨拶の場面~帽子を目深に被り去っていく姿がやばい。あそこは泣いた。観終わった後、CLANNADの早苗さんの言いつけを守っておトイレに入ってからガチで泣いた。最後のお別れに最高のおもてなし。あれだけはいかん。自分にとっては一生のトラウマ。今ならちゃんと分かる。有難うと言いたい。

夢と理想と現実

 幼い頃の二郎が飛行機の雑誌を読みながら夢を膨らませる。外で発散させず内にこもるタイプの私としては、これめっちゃ分かります。ゲーム雑誌を買ってきて、発売前の作品の情報を見ながらいろいろと妄想したものです。二郎の憧憬と読んでいる雑誌の内容が、夢として思い描かれる。夢と理想と現実が綯い交ぜになり、二郎自身も困惑しながら対話を試みる。彼がエリートたる所以は、幼い頃からある程度は現実を見据えた思考が出来たこと。心象風景の中において、俺TUEEEEEせずにガチ設計しちゃう人ってすごくね。札束とおねえちゃんで溢れた風呂に入るのが夢なんだ!といい笑顔で語っていた学生時代のバイト仲間に聞かせてあげたいです。

 大人になり、社会の荒波に揉まれることで変化していく夢。最初の夢では爆撃機でした。温厚な性格の二郎としては、飛行機を戦争の道具だけにはしたくなかった。娯楽としてのトンデモ飛行機から、最先端であったドイツ性の重厚感を感じさせる技術的向上を試みた戦闘機へと移り変わった。仕事での挫折と、プライベードの悩みからは真っ白な紙飛行機が生まれた。嫁や仲間に必要とされることと、その恩返し、そして技術者としての挑戦から零戦が完成した。正に人生。風立ちぬは人生。風というか嵐が過ぎ去って荒地しか残っていなくても、人生は続く。人生ってマジ理不尽ゲー。彼にとっては二度目の凪。生きてほしい。おっさんも生きる。がんがれ。がんがる!

 宮崎駿さんの自伝でもあるのかなとおもいきや、技術革新という意味ではその下の世代が主人公でした。凝り固まった頭からは新しい発想は生まれてこない。苦悩しながらも新しいことに挑戦してきた人物がいて、同じ業界でライバルとして見てきたからこそ、庵野秀明さんを指名したのかなと納得しました。勉強会の場面での「嗚呼、面白かった」という台詞が印象的でした。宮崎駿さんの作品において、おっさん世代キャラからあの言葉が出てきたことはまさに僥倖。ジブリ、まだまだ戦えそうすな。白富野キングゲイナーみたいな意外性のあるジブリ作品を観てみたいです。

 俺らはこんな人生だった。じゃあ、君らはどうするんだい。応援でもあり、挑戦状でもあり。老いぼれがまだ現役で活躍していて、おまえらは恥ずかしくないのか。20年遅れているぞ。追い越しに来いと発破をかけられています。まだまだ抜かせる気はなさそうですが(笑)。

 自分が見聞きしている範囲での世間の見解では、ニコ動での活動やボカロ、ソーシャルゲームって馬鹿にされがちじゃないですか。でも、実際作っている人たちって本気なんですよ。二郎が作りたかった飛行機と戦闘機の違いと同様で、やりたいことと、お金を稼ぐことは別です。昔はマンガやアニメ、ゲームだって馬鹿にされていました。クールジャパンってなんでしょうね。随分と都合がいいですね。否定して馬鹿にするだけの人と、前を目指して頑張っている人。どちらが成功するのでしょうかね。私はどちらかというと「マンガやアニメ、ゲーム」世代なので、次の世代の人たちの活躍がめっちゃ楽しみです。(追伸。今期だと「ガッチャマンクラウズ」が正にその世代ですね。前衛的! アバンギャルドって言い直すとかっこいい不思議!)

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  1. 風立ちぬ : 完全大人仕様のジブリ作品

     暑い、暑い、暑い、ですねぇ。こんな日は海水浴にでも行くか、エアコンの効いた映画館に行くのがよいのではないでしょうか。では、本日紹介する作品はこちらになります。

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